どうしてだろ。
今まで出会ったお客さんは、ただの『お客』として見れていたのに
彼を前にすると、あたしはキャバ嬢としてじゃなく、一人の『女』になってしまうんだ。
もう、誰も好きにならない。
信じていいのは
自分だけ、ってそう誓ったはずだったのに。
もうこれ以上
ヒロくんには、会えないよ………。
―――――…
「いいのかい?仕事休んで。」
「大丈夫です。」
次の日、あたしは初めて仕事を休んだ。
きっと、彼はあたしに会いに今日も来るだろう。
彼に会わない為にはあの店を辞めるしかない。
だけどそれじゃ
生活していけないから。
「世里菜ちゃんが僕の愛人になってくれるなんて本当、嬉しいよ。」
「…私も、です。」
だから、あたしは『世里菜』を売ったんだ。

