だけど、ヒロくんの言葉はあたしが想像してた言葉とは真逆で。
「俺がそんな事で、世里菜を嫌いになるとでも?」
「…え?」
揺るぎない彼の視線があたしを捕らえた。
「俺は、どんな世里菜も好きだから。」
それはきっと
あたしが心のどこかで待っていた言葉だった。
それからもヒロくんはあたしの働く店に足しげく通ってくれた。
いや、むしろ前よりも来てくれる事が多くなったと思う。
彼の隣でお酒を作りながら、あたしの気持ちは複雑に絡まってゆく。
どうしてあたしなの?
嬉しいはずなのに
自分の背負う全てが重たすぎて、彼に頼る事で
また一人になった時の虚無感を味わうのか、そう思うと素直にはなれなかった。

