そしてあたしはヒロくんを路地裏の小さな喫茶店に誘って言った。
「あたし、未婚の母なんだよね。」
「え?」
案の定、ヒロくんは驚きを隠せない顔であたしを見てきた。
ついでに、『父親が逃げた』と言ったら
あからさまに傷ついた表情で俯いてる。
わかったでしょ?
だから、これ以上あたしに近付かないで。
「男って本当バカ。ちょっと優しく微笑んであげれば、勘違いしてさ。」
とくわえ煙草のままアイスコーヒーにミルクを混ぜる。
ゆっくりと顔を上げたヒロくんの視線が痛い程にあたしへ突き刺さった。
「だからあの仕事は楽。大抵バカな男しか来ないもの。」
どうせ、あなたもあたしから離れていくくせに。

