世里菜の店に通い詰め、一ヵ月。
夜の大半はあの店に居る俺は、帰って寝て
昼近くに会社に行く。
そんな生活を繰り返してた。
だけど、彼女と出会って変わった事がある。
「てか、こんな事も出来ない訳?」
トントンと乱暴に報告書をボールペンで叩く。
「いい加減、クレームばっかり持って帰ってくるのやめてくんねぇ?」
立ちすくむメタボリック腹を見上げて俺は溜め息を吐いた。
「とにかく、先方にすぐ謝罪して来て。」
そう言って席を立つ。
―彼女と出会ってから変わった事。
それは仕事、ハウスクリーニングの社長という立場をやっと理解した事。
相変わらずジャンプは読むけれど、それでも前よりは仕事に対して真剣に取組む事が出来た。
心なしか、社員達の俺を見る目も変わってきた気がする。

