「お隣、失礼します。」
俊介とくだらない話をしていたら、俺の空いた隣の席に女が座った。
ふいに顔を上げる。
思わず、手に持ったグラスを落とすかと思った。
「世里菜です。」
と、笑った彼女は
黒いロングドレスを気にしながら俺の隣に腰を降ろす。
視線が合うと、彼女は首を少し傾げて笑った。
…一目惚れ?
いやいや、ちょっと待てよ。
俺、そうゆうキャラじゃねぇし!
なのに、この胸のざわつきは何だ?
暴れ回る心臓が、理由もわからずに俺を押し上げてゆく。
「………?あたし、顔に何かついてますか?」
「あ、いや!そうじゃねぇけど!」
ヤバ、今俺、見とれてなかったか?
まさか、な。
ないない。

