俺にとって、俊介の一途さは未知の気持ちだ。
一人の女にそれだけ心を寄せていながら
自分の物にならなくてもいいんだ、なんて。
…理解不能。
女なんて、腐る程居るのに。
冷房の効いた店内でそんな俊介を見ていたら
「アユミさん、」と
ボーイが俺の隣に居る女を呼んだ。
「え~アユミ、まだここに居てもいいですかぁ?」
なんて猫みたいな声出して甘えてくる女に
「お疲れ。」とグラスを合わせた。
カチン、と鳴ったグラスに女も意地になって指名してと言ってくるけど
「はいはい、今度ね。」
そう言って愛想笑いで返す。
ふざけんな、誰がお前みたいに顔面白塗りの女指名するか。
散れ、散れ。
笑顔でアユミを見送ってビールを飲み干した。

