「行くで〜?」


「もーちょっと〜!」


時間までに出なきゃいけないのに、私の仕度が中々終わらない。


「そんままでええのに・・・」


春君のそんな呟きも、聞こえないフリして、いそいそと準備する。

やっぱりこれは最低限のマナーでしょ?


「何で女の子ってそんな時間かかるん?」


「えー?春君が早いだけでしょ」

移動中の、春君が運転する車の中、そんな会話ばっかしてた。


そんな、くだらない話しも楽しかったりして。


「じゃー先行くわ。」


「あーうん、」


春君が先に降りて、私が後で後ろについてく。


・・・ばれない様に。


そんな言葉でも納得しちゃう私は、少しおかしいのかもしれない。

けど。


『・・・邪魔されたくないねん』

笑美との時間を。


そう言われるから、何も言えない。・・・言えないんじゃなくて。そう言ってくれるだけで満足だから。