真っ直ぐに笑美を見ると、
笑美は瞳を逸らして。


「・・・バイバイ」


瞳に・・・


涙をいっぱい溜めて。













《バイバイ》


それだけで終わってしまった時間。


「あれ?春馬、今笑美、走ってたで。俺ぶつかってん・・・」


急に力が抜けて、
床に堕ちた。


「っ・・・」


笑美・・・・・。


ごめん、ごめんな。


しばらくずっと起きれなかった。

遠ざかる笑美を、


見つめる事も出来なくて。


涙も・・・


溢れる事はなかった。


本当に悲しい時って涙は出ぇへんって言うけど。


どうなんやろ。


俺今、


笑えてるかな。














俺が泣かせたんや。


一番見たくなかった涙は。


いつも俺が原因やったんやな。


笑顔が見たいのに。


笑美の笑顔が大好きやのに、


いつも泣かせてばっかやった。


ーバイバイ。


どんな気持ちで言ったんやろう。

あん時笑美が嫌やって言ってたら、俺はどうしてたんやろ。


それでも、


別れようって言ったかな。


・・・きっと言えへんかった。