「座りや、」
「うん。」
夏紀君は、自分の座ってる椅子の前を指さした。
「俺さ?美空と居ると、夢見とるような気分になるねん。」
自分の事を、少し小さめの声で話し出した。
正直、びっくりした。
・・・私も、そうだから。
「俺、今まで、遊んでばっかやったし、正直な?最初は美空の事も軽く見とって、けど気ぃついたら、本気んなってた」
夏紀君に初めて会った時も、下ネタで話し掛けてきたもんね。
「だから、大切にしたいんやけど・・・ほんま初めてやから。こんな気持ち、どうしたらええか、分からんようになんねん。」
淡々と話す夏紀君の言葉には、
お姉ちゃんへの愛が詰まってた。
「夜中にな、春馬と起きて、話しててんけど。」
春君も・・・?起きてたの?
「春馬も・・・そうやねんって」
え・・・?
「え?」
「大切にしすぎて、よう分からななってまうねんって。」
「こんなん思うの初めてやから、分かられへんねんって。」
本当にそう思ってくれてるの?
「っ・・・・!うぅ・・・。」
知らない内に、涙が溢れる。

