「んん・・・。」
目を覚ますと、もうどこにも春君の姿はなかった。
いつの間にか、寝ちゃってたんだ・・・。
珍しく、寝坊なんてしなかった。
・・・駄目なのかな、もう。
こんな事・・・笑われてしまうかもしれないけど。
本当に不安で不安で堪らなかった。
私が今一番信じられるのは、
この・・・指輪だけ。
「おはよ・・・。」
階段を降りて、リビングに向かうと、夏紀君の姿があった。
「おはよぅ、早いな?」
「え?」
「いっつも美空が、ギリギリまで起きへん。ってぼやいとるで?(笑)」
う・・・。事実なだけに、心が痛い。
「夏紀君も早いね?」
「あー、何かな、目ぇ覚めてもーた。」
「そっか・・・、」
まだ薄暗い部屋。
ーコポコポ・・・
麦茶を注ぐ音だけが、異様に響く。
「夏紀もー出たで?」
「知ってる・・・。」
テレビも電気も点けずに、交わされる会話。
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