ちらりと彼をみると
目の前の本に集中していて
こちらには全く無関心だ。

とても親切な人な感じはしないし、
他人とかかわることを
面倒だと思っていたのは
わかってる、

夜中に現れた他国人ですし、
できればご迷惑を
おかけしたくないのだけど、
それらを考慮した上で
言わせて頂ければ・・・

――あんた司書なんだから
 ちょっとはお仕事しないさいよと!!!

言いたい気持ちをぐっとこらえ
「あの・・・お聞きしても
 いいでしょうか?」
集中している彼の背中に声をかけた。

「はぁ・・・なに?」
あからさまにため息をついて
本を音を立てて閉じる。

長い脚を組んだまま
こちらに振り返り
頬杖をついて
眼鏡越しに冷たい目線が飛んでくる。

あ、瞳の色もすこし青が混ざってるのか・・・
黒に微かに交る青、まるで夜空・・・

でも、心では面倒だとは思いながら
そこに拒絶は感じられない。