ハトナに付き添われ部屋に戻ると
眠気はすっかりさめてしまっていた。

「ハトナ、まだ眠れそうにないのだけど
 一人で散歩しても平気かしら?」

遅すぎないけど、
もうすぐで遅いといわれる
微妙な時間である。
ただ、城の敷地内は
かなりの警備の兵士が立っていて
外灯もいつもより多くたかれていると
タシーが言っていた。
ハトナは表情は変えずに
「こちらへ」といってベランダに
私を促した。
そしてベランダから見える
庭園をさして
「あちらの庭園でしたら
 明るいですし、
 兵士もところどころ
 立っております。
 玉砂利の敷いてある所なら
 御ひとりで出歩かれても大丈夫です。
 それ以外に御出になられると、
 たとえクラァス様でも
 兵士に捕まりますので
 ご注意くださいませ。」