そんな時間が私をすこし幼くさせた
だから、
どんなに癒されても不安になってしまう
そんな心の内が自然とでてきた

「わたしにも、みつかるのかな・・・
 お母様にとっての
 お父様みたいな人・・・」

あらかた乾いた髪に
金色の精油を数滴なじませ
母は優しく髪を梳く。

髪を梳きながら
包み込むように話し出す。

「結論からいうと、
 みつかっちゃうんだわ」

私の後ろにいる母を鏡越しにみると
淋しそうに天井をみて笑ってる。

「見つけられちゃうのよ、
 クララがね」
なーにも心配いらないって
鏡に映った私と目を合わせて微笑んだ

「まだ、その時じゃないってだけ」
ドレスの入っている
クローセットへ向かいながら
母は続ける
「だから見つかっちゃうまでの間。
 どこにも出さないで
 クララを小さくして
 ずーっとポケットにしまって
 おきたいって思うわ」