当て馬ならし

後ろから足音が近づいてくる

あぁ・・・彼の足音だ

たぶん、3歩ぐらい
離れたところで彼が止まった。

「おい・・・」

静かにかけられるその声は、
何かを押し殺すように
いつもより低くかすれていた。

心臓が跳ねる。

声だけで、動揺してしまう。
全身が熱くなって
・・・きっと顔は既に真っ赤だろう・・・

自分の息がやけに大きく聞こえて
ついつい、息を止めてしまう。

「こっちむけよ」
無理・・向けない、
向いたらもう・・・
気持ちが止められない

首を小さく振る