こんな最強の父が
唯一かなわない人物がいる。

「あなた」
背後から突然声がかかった。

すりすりしながら
ご機嫌で愛娘を運んでいた父は
その声にビクッと震え
その大きな体をかがめる
私をゆーっくりと床におろし
「うむ・・・」
といって背筋をのばして振り返る。

どこまでも優しく
微笑みをたたえた笑顔
「朝議をさぼって
 娘へのいやがらせですか?」
でも、声にのっているのは・・・
怒りだろうなぁ・・・

お父様・・・さぼっちゃったの?
目で問いかけると、父は
うん、さぼっちゃった・・・
と目で返してくる

そんなやり取りをみて、
大きくため息をついたのが

そう、私の母で父が決して敵わない相手

ルベーラ・ルヌィ・ファルゴア

この国の平和を司る王妃
父とは8年歳が離れている
年下の母はそれをモノともしない
女性としてもまだまだ若若しく
妹が受け継いだ白い肌は年齢を重ねて
さらに艶めき
年齢はどんどんわからなくなっていく。
これは竜の加護なのかもしれない
という噂もあるほどだ。