震える瞳が彼を捕える
触手がすんでのところで
触れる位置まで彼は近づき歩みを止めた

「助けてあげても構いませんよ。」
ねっとりと囁く・・・

もう・・・こいつにしか、
・・・すがれないのか・・・

「泣きわめいて命乞いしなさい。
 そして私にすべてをささげると誓うのです。」
目の前で蠢く触手の向こうで・・・
魔術師は優しく微笑む

狂気に歪んだ顔に真っ黒な喜びを湛えて

「当て馬姫は極上の体を
 持っているともっぱらの噂でねぇ、
 それをたぁっぷり味わいうのもいい」
目線が太ももを舐めるように動いた。
目の前で動き回る黒い触手、
でも差し出される助けの糸も
・・・また黒く歪んでいた・・・
ただ・・・ゆっくりと・・・
心が折れていくのがわかる・・・
もう・・・どうなっても・・・いい・・・
「我が国の最初の妃の一人になる光栄を
 与えてもいい」