この大きな剣を余裕で寸止め
わかってたけど負けた・・・

緊張が切れてどっと汗が噴き出す
見ていた新米騎士達も
息をとめていたのか
決着がつくとわっとわいた。

お互いに武器を収める
そして父が言った
「クララ、負けたということは、
 久々に頬すりすり刑だな」
ニヤリとした父

「うわーぁ・・・・」
私はあからさまに逃げ腰になる
それをあっさり捕まえる父

小さいころから父は
私たちにその丈夫な髭が生えた
顎や頬を擦り付けてきては
愛情表現をしていた。

まーわかりやすい親ばか行為

最近は大きくなって
素直に抱きつくこともなかった私に
父は嬉しそうに告げ

頬すりすり刑を楽しそうに執行する。
18歳にもなる娘にすることなのか?
仮にもあなた王様ですよ?

ただあまりに嬉しそうなので
甘んじて受ける
「いたたた・・・いたいってぇ」
相変わらずの髭を擦り付け
「すりすりだぞぉーわーっはっはっは!」
と上機嫌の父。

いつもは無口な王だが、
娘の前ではこうなってしまうことを
騎士たちは知っている。

父に抱きかかえられて
頬ずりされながら去っていく私を
騎士たちが笑って見送っていた。