怒りにまかせ禁忌の魔法で
精神を壊すことも可能だった。
でも、氷の檻に閉じ込めるにとどまる。

全てが終わった。

「兄貴も俺も・・ボロボロだった・・・」
膨大すぎる魔力は危険だった。
暴走ギリギリの魔術フィールドに
単身乗り込むとか普通じゃできない。

それをやってのけるのが
兄貴なんだ。

懐かしそうに誇らしげに語る

「親父や、この国の幹部にいろいろ説明し
 この事件が内密に処理された後に
 兄貴に聞いたんだよ。」

どうしてここが分かったのかって・・・

たしかに、最初にここに
入り浸り始めたころ、
こっそり兄貴を連れてきて
自慢したことがあった。

でも、それはもう1年も前の事で
・・・一度きり。

兄は15歳の成人の儀を迎えるに当たり
毎日その準備で忙しい。
そんな兄貴がどうしてあそこに現れたのか・・・?

そしたら兄貴が
『おまえ最近取りつかれたみたいになってて、
 心配だったんだよ。
 だからお前の行動をしばらく見てたんだ』
そして今日、突然姿を消して
所在が分からなくなったと報告を受けて
もしかして、あの実験室かと
駆けつけてみたという事だった。