当時、10歳の誕生日を迎えてはいたが、
まだ子供だった彼は魔術を
悪戯の道具にしたり
それこそ喧嘩の手段にして
他者との力関係を有利にしていた。

そろそろ、魔術に対しての
正しい知識と責任を教育する機会だと
主張されたという。

「兄貴は王様になるから仕方ないけど、
 俺は王にはならないのに
 何で責任とか必要なのかと
 その時は浅はかな考えを
 正論だと思ってたんだ。」
王族に生まれ、自分は何不自由なく
育っている環境を
特別とは思っていなかった。

当たり前に与えられているものが
何を意味するか、学ぼうとせず。
制限される不自由に
不平を漏らしているばかりの子供だった。
そんな面倒くさいことを言う
老魔術師に反発を覚えた時
声をかけてきた魔術師がいた。