一国の王を支える為の勉強を
今はひたすらしている。
さらに、ほとんどの公務に同行して
本当に休みと言われる日は
ほとんどないのだった。
他国で皇太子がやることを
この姫はすでにその細い肩に背負って
生きている。

私は将来、国外に嫁ぐと決めているので
またお見合いの話がくるまで
悠々自適に過ごしていられる
でも、妹は違うのだ。

そんな彼女がやっともらえたお休み
「・・・・ 牡牛角の
 ・・・鍛冶屋にいくんでしょ?」
すこし口ごもりながら、
牡牛の巨大なオブジェを掲げ
常に金属が打ち合う音が絶えず
窓からは赤い鉄の溶けた様子や
火花の散るのが見えたりする
この城下町の鍛冶屋の名前を出す妹

私は妹の顔を見ながら
「セルヴァンのいる鍛冶屋ね」
と念を押す。
ぼんっと音がしそうなほど
さらに顔を赤くして妹が私をみる
ぱくぱく・・・ぱくぱく・・・
口は動くけど音はでてこない