身体をほぐし
薔薇から作った精油を
蒸しタオルでふき取ると
優しくガウンをかけてくれた
メイドが下がる
このまままどろんで
朝を迎えてもいい
それぐらい心地よい脱力感
そんないつもの夜

――コン、コ、コン
独特のノックの音
子供のころ二人で決めた合図
「起きてるよ、どうぞベル」
ガウンを着てさっきメイドが消した
蝋燭に明かりをともす。

静かに扉を開けてベルが
滑り込むように入ったかと思うと
扉を閉じてベッドに飛び込んできた。

白い軽い生地の寝間着を
ふわふわさせてベッドに寝転がる。
「薔薇・・・♪」
ベッドにのこる精油の匂いに
顔をうずめるベル。
こういう時のベルは
なにかのお願い事をしようとしている時だ。