得意顔で
胸から腰辺りについた泥を指す
「可愛かったのよぉ。本当に」
ミニブーケを抱きしめて思い出す

「みてたし」
肘をついてこちらをみながら
ラル王子はぼそりと言った
「は?」
思い出から高速でもどってきて
ラル王子をみると
片方の眉を器用にあげて
ローブを目線で指す

いたか?黒いローブ??
・・・いたかもしれない・・・
でも・・・そんなスフィアに夢中で
気が付かなかった・・まてよ?
「え?じゃ・・・
 空間移動?・・・すごいね・・・」
「いや、ポートを開いて
 いつでも行けるから」
そういって書庫の奥にある
鉄製の扉を指した
その扉にはやはり
魔術的な文様が彫られている
「そっか、なんか
ベラベラしゃべっちゃったけど、
考えてみたらあなたが
作った施設なのよね?
申し訳ないうるさくして・・・
じゃ、お邪魔しま」
「いや、参考になった。ありがとう」
出て行こうとした私に彼が言う

振り返ると眼鏡越しに見えるあの瞳が
優しく微笑んでいた。

わー久々にみたわー
そうそう、こういう顔も
できるのよね、彼・・・
そして、言葉が少ないせいか
要点を素直にいってくる。
素直に感謝されて・・・
嬉しく弾む心があった。