他の子が渡してしまった事に
焦ったのか急いだその子は

―ポテン

と軽い音を立てて転んでしまった。

お花はなんとか持っていたけど
ドレスは泥だらけになってしまう。
起きあがった彼女は自分の泥をみて、
そして私をみて顔をゆがませ
みるみる目に涙がたまっていく。
可愛く愛くるしいその姿に
自然と体が動いた。

「おいで、泣かないでいいよ」
私もドレスの裾が汚れるのを気にせず
膝をついて女の子と同じ目線になる。

両手を広げて呼ぶ
彼女はトテトテとあるいて
私の胸に収まってくれた。

女の子を抱きしめて
花束の匂いを嗅ぐ
「ありがとう」
そういうと、
彼女はくすぐったそうに
笑ってくれた。

花束を受け取って
親の元に送り出すと
彼女は振り向いて
「お嫁にきてくださいね」
とたどたどしくではあるが、
嬉しくなるほどまっすぐに
言ってくれた。