「疑わしいかもしれないけど・・・
 あなたの薦めてくれた本の残りを
 借りたいのだけど
 どうかしら?
 この書庫に私を入れたくないのなら
 ハトナに頼んで・・・」
「いや、別に」
さらりと言う
「俺はあんたを兄貴へ
 推したりしないから」
「つまり、あなたと話すように
 なったとしても
 アル王子のお見合いが
 私に有利になることは
 ないってことでしょ?」
「そう、俺は利用されない。
 それは兄貴にしてもだ・・・」
私に言った言葉だと思う・・・
でもそれは、自分に言い聞かせている
そんな気がした。
その深く強い思いに
私は触れてはいけないような気がして
心を覗くのは控えることにした。