草刈りをしている農夫が
私の馬車をみつけ、
満面の笑みと共に大きな声で呼ぶ
「おかえりなさいませぇ~
 クララ様ぁ~」
クララはこの国で
私に与えられた愛称で、
国の皆は私をこう呼ぶ。

作業を中断して手を振る農夫
馬車は気持ち速度をおとす。

「ただいまぁ!
 今年もおいしそうねぇ~」
彼に負けじと馬車の中から
大きな声を上げる
「朝どりを城に届けてありますんでぇ~、
 楽しみにしてくださいな~」
「ありがとうーーーー!」
小さくなっていく彼は、
私が見えなくなるまで
手を振ってくれた。