そんなやり取りの間も
キャーという歓声が
上がったりしている。

渦中の男性は
輪から逃げ出そうとするたび
行く手を阻まれ
囲まれて逃げ出せずにいるようだ。

あの男性は?とハトナに問うと。
「第二王子のラル殿下です」
と答えが返ってくる。

そうだった、
この国にはアル王子の他に
弟の王子がいて、
その人はたしか、
魔法の才が優れていて、
留学していた魔術師学園都市で、
最年少で博士号を習得したほどの
力の持ち主だと
ルミナーテが教えてくれた。

若いメイドがこそこそと私に
「アル殿下がだめなら
 ラル殿下に乗り換えるとか
 言ってるんですよぉ
 あの人たち!」
そういってまたタコになる。