カチン。

こいつ、やっぱり私は嫌い。


依然、この人に「風間さん好きですね」って言われてからと言うもの、勘に障ることをちょこちょこ言ってくる


「お荷物お預かりしますねっ」

私は必要以上の会話を避けて、いつものソファーに腰掛けた

待っていると、後ろからいきなり頭をポンポンされた
「きゃっ」

「なっちゃん、ごめん驚いた?笑」


風間さんだ。


「大丈夫です。少し驚きましたけど(笑)」

驚いたより、ドキッとした


だって、私にはわかった。
知ってる手だったから。


「いこっか、御手洗い大丈夫?」

「はい」


また風間さんの背中を階段あがりながら見つめる


細いのに、男の人って背中をしている

「今日は、ストレートで良かった?」

席に座るとメニューのカウンセリングを始める風間さん

すると突然、後ろに立ち髪を触る風間さんと鏡越しに目が合う

そして、両手を頭の上に置き、軽くもたれかかった状態でしばし沈黙


「か、風間さんっ?」

「なっちゃん。髪、切っちゃ嫌?」

え、


多分顔が赤くなってるだろうから目を合わせなかったけど、いきなりの質問に、鏡越しの風間さんに目を向ける


「いきなりやねんけど、モデルしてくれへん?」