にっこりと無邪気に笑ってみせる。
「タナトス、もうすぐ……助けるから。」
そして、目の前の建物を見た。
「あそこに、居る。」
そう言うと、建物へ向かった。

建物の中から二人の少年が出てきた。
「噂をすれば、お出迎えか。」
サタンは少年を見た。
桃色の髪、ゼロと同じ瞳の少年。
漆黒の髪、タナトスと同じ瞳の少年。
「不審者、確認。」
「一応、何者か問う。」
桃色と漆黒はこちらに向かいながら淡々と言った。
「あのね、あのねー!黒色さん、貴方の力を貸してほしいな。」
ゼロはにっこり笑って言った。
「?」
漆黒と桃色は顔を見合わせた。
「俺か?何だ。場合によっては拒否するぞ。」
「君が素直に応じたところなんて見たことないけどね。」
漆黒に桃色が苦笑する。
「タナトスを、助けてほしいの。」
「タナトス?」
漆黒は気怠げに首を傾げた。
「伝説上では、死を司る罪人。とあるけれど、まさか、それじゃあないよね。」
桃色は笑う。
「僕たちエクソシストは悪魔を殺す存在。大罪人を助けるなんてありえない。」
「タナトスは違うよ!」
ゼロは膨れっ面をした。
「私達は天界から来たの。信じられないと思うけれど。」
そして、真っ直ぐに二人を見た。
「人間は誤解してる。魂を奪うことが悪だって思ってる。けれど違う。奪うものがなければ、溢れかえってしまう。秩序守るための存在なんだよ?」
「では何故、大罪と呼ばれている。」
「それは……」
「悪だからだろう。」
「今は違う。」
「改心したとでも?」
漆黒は嘲笑する。
「仮にそうだとしても、見ず知らずの得体が知れないものに貸す力などねぇよ。」
「今の説明じゃわかんない?」
ゼロは首を傾げた。
「信じられると思うか。」
「思う。」
「馬鹿か。」
「だって、本当だもん!」
呆れる声にゼロは胸を張った。
「うるせぇんだよ。カス。」
漆黒はそう言うと足を踏み出した。
地面が抉れ、身体が沈む。
「さっさと逃げたほうが身の為だぜ?」
ニヤリと笑む。
「あーあ。短気は損気っていうのに。僕は手出ししないよ。」
「わかってるじゃねぇか。そこで突っ立てな。」
桃色にそう言うとサタンを見た。
そして、その腕の中の少女を見た。
少女は目を閉じ、紫の服が赤黒く血で染まっている。
「そこに居るのがそのタナトスとかいう奴か。骸骨付けて、不気味だな。」