「……こっち。」
全てが無意識だった。
確証もない。
だが、確信した。
“こっちにいる”と。
声は言い続ける。
“愛オシイ——”
続きが聞こえない言葉。
酷く冷たく、それはあの骸とよく似ていた。
歩く足に纏わり付くように骸が這い寄る。
誰にも見えぬ幻想。
“オイデ、愛オシイ——”
おいでと手招く声に従うように進んだ。
不可解そうに陸奥が付いて来る。
「何だ、てめぇ。何を根拠にこっち目指してんだ。」
「どちらにしろ、手当たりもない。黙ってついて行ってもいいと思うよ。」
レイを宥めるようにミューが言う。
「無駄な行動ならば許さない。」
陸奥は眉を寄せた。
(この感じ……)
似通った気配をサタンは知っていた。
思考を遮り、ゼロが服を掴んだ。
「タナトスがへんなのー」
「大丈夫だ。」
安心させるように無愛想な顔のままでゼロの頭に手を置いて、軽く叩いた。
本人は撫でているつもりらしい。
それを解って、ゼロはなされるがままになっている。
「それにしても、酷い腐敗。」
レヴィが呟いた。
大地が腐り、異臭が漂う。
肉片は見当たらず、食い散らかした後のような骨と鮮血が見える。
細い路地を抜けると、寂れた食堂があった。
窓辺に男の影が見える。
「うむ。」
食堂の中に入ると、食事をしながら男が立ち上がった。
「久々だな。」
「そうね。」
タナトスは淡々と言う。
「ベルゼブブ。自分が何してるか解っているの?」
「神に逆らい、悪魔に加勢した。とでも非難する気かね。」
そう言うと、首飾りを見せた。
黒い宝石が埋められている。
「突如として、黒い宝石が様々な所に現れた。それは、強大な力を持つ。」
「もしかして、悪魔の力の化身……?」
「神の言葉が事実なら、そう言える。」
ベルゼブブと呼ばれる男性は言った。
「黒い宝石はお互いにくっつき、大きなものになる。」
二つの宝石を持ち、くっ付けると、宝石は合わさり、大きくなった。
「素晴らしいだろう?」
“愛オシイ——”
宝石から声がした。
それは、今までの声と同じ声だ。
やはり、続きは聞こえない。
「うっ……!」
鋭い痛みが胸に刺さる。
不可解だ。
攻撃も受けていないというのに。
「だいじょーぶ?」
ゼロが首を傾げる。
「なんだか、呑気ね。」
「ちがうもん!」
ぷくーっと頬を膨らませた。
「べるべるー!」
にへーっと笑ってベルゼブブに声をかける。
全てが無意識だった。
確証もない。
だが、確信した。
“こっちにいる”と。
声は言い続ける。
“愛オシイ——”
続きが聞こえない言葉。
酷く冷たく、それはあの骸とよく似ていた。
歩く足に纏わり付くように骸が這い寄る。
誰にも見えぬ幻想。
“オイデ、愛オシイ——”
おいでと手招く声に従うように進んだ。
不可解そうに陸奥が付いて来る。
「何だ、てめぇ。何を根拠にこっち目指してんだ。」
「どちらにしろ、手当たりもない。黙ってついて行ってもいいと思うよ。」
レイを宥めるようにミューが言う。
「無駄な行動ならば許さない。」
陸奥は眉を寄せた。
(この感じ……)
似通った気配をサタンは知っていた。
思考を遮り、ゼロが服を掴んだ。
「タナトスがへんなのー」
「大丈夫だ。」
安心させるように無愛想な顔のままでゼロの頭に手を置いて、軽く叩いた。
本人は撫でているつもりらしい。
それを解って、ゼロはなされるがままになっている。
「それにしても、酷い腐敗。」
レヴィが呟いた。
大地が腐り、異臭が漂う。
肉片は見当たらず、食い散らかした後のような骨と鮮血が見える。
細い路地を抜けると、寂れた食堂があった。
窓辺に男の影が見える。
「うむ。」
食堂の中に入ると、食事をしながら男が立ち上がった。
「久々だな。」
「そうね。」
タナトスは淡々と言う。
「ベルゼブブ。自分が何してるか解っているの?」
「神に逆らい、悪魔に加勢した。とでも非難する気かね。」
そう言うと、首飾りを見せた。
黒い宝石が埋められている。
「突如として、黒い宝石が様々な所に現れた。それは、強大な力を持つ。」
「もしかして、悪魔の力の化身……?」
「神の言葉が事実なら、そう言える。」
ベルゼブブと呼ばれる男性は言った。
「黒い宝石はお互いにくっつき、大きなものになる。」
二つの宝石を持ち、くっ付けると、宝石は合わさり、大きくなった。
「素晴らしいだろう?」
“愛オシイ——”
宝石から声がした。
それは、今までの声と同じ声だ。
やはり、続きは聞こえない。
「うっ……!」
鋭い痛みが胸に刺さる。
不可解だ。
攻撃も受けていないというのに。
「だいじょーぶ?」
ゼロが首を傾げる。
「なんだか、呑気ね。」
「ちがうもん!」
ぷくーっと頬を膨らませた。
「べるべるー!」
にへーっと笑ってベルゼブブに声をかける。


