「別に本名があったが、研究者によって被検体番号で数えられるうちに忘れた。周知の事実だ。」
レイは眉を寄せると舌打ちをする。
(というより、思い出したくないから忘れるという無意識上の防衛だろうな。)
ミューは苦笑する。
『君が過去を捨てるなら、僕も捨てよう。』
『あ?何だよ。偽善者が。』
『君をここから出してあげる。』
「僕の説得でレイはモルモット状態から解放されたんだ。まぁ、とはいえ、研究の資金を出しただけだけれど。」
ミューはにこにこと笑う。
「こう見えて、両親共に名のある研究員でね。この研究所の柱にもなっている。」
「ふん。よくもまぁ、応じたものだ。」
「ふっふっふ。……代わりに縁を切っただけさ。」
(研究者としてではなく、人間として、化物と血筋なのは嫌な話だ。)
藍畑にミューは笑う。
『君を番号で呼ぶのは忍びないな。……そうだ。レイと呼ぶことにしよう。』
『……好きにしろ。』
『てめぇの名前は?』
『ふふふっ。過去を共に捨てたんだ。名前なんてないさ。』
『じゃあ、なんて呼ぶんだよ。』
『君が付けて。君の名前を僕が付けたように。』
『……チッ。』
不機嫌そうな彼は言った。
『ミュー。それがあんたの今からの名前だ。』
『ありがとう。』
「そんな契約、知らないわ。私には、やるべきことがあるのよ。」
忌々しそうにタナトスは言う。
「我々も協力しよう。それで、問題ないだろう。」
「大アリよ。人間の助力なんて冗談じゃないわ。」
タナトスは憤慨した。
「……では、もう一つ、情報を。」
藍畑は言う。
「ここ最近、四日前程から起こっている事件について。」
「?」
タナトスは睨むように藍畑を見た。
「夢魔よりも強大な力が現場からは感じた。」
そう言うと、パソコンのデータを見せた。
「数十件の事件から、全ては同一であると推測。多少は状況による劣化が見られるが。」
指したグラフと図は神力を指していた。
「場所が離れすぎていることから、クローンあるいは瞬間移動能力者であると考える。」
そう言うと事件現場の場所が示された。
「……悪魔。」
タナトスは悔しそうにする。
「こうなった以上、仕方ないわ。」
諦めたように、ベッドに足を組んで偉そうに座った。
「貴方に情報を提供してあげる。けれど、モルモットは却下よ。私が仕えるのは唯ひとり。」
「言うことを聞くのなら構わない。」
レイは眉を寄せると舌打ちをする。
(というより、思い出したくないから忘れるという無意識上の防衛だろうな。)
ミューは苦笑する。
『君が過去を捨てるなら、僕も捨てよう。』
『あ?何だよ。偽善者が。』
『君をここから出してあげる。』
「僕の説得でレイはモルモット状態から解放されたんだ。まぁ、とはいえ、研究の資金を出しただけだけれど。」
ミューはにこにこと笑う。
「こう見えて、両親共に名のある研究員でね。この研究所の柱にもなっている。」
「ふん。よくもまぁ、応じたものだ。」
「ふっふっふ。……代わりに縁を切っただけさ。」
(研究者としてではなく、人間として、化物と血筋なのは嫌な話だ。)
藍畑にミューは笑う。
『君を番号で呼ぶのは忍びないな。……そうだ。レイと呼ぶことにしよう。』
『……好きにしろ。』
『てめぇの名前は?』
『ふふふっ。過去を共に捨てたんだ。名前なんてないさ。』
『じゃあ、なんて呼ぶんだよ。』
『君が付けて。君の名前を僕が付けたように。』
『……チッ。』
不機嫌そうな彼は言った。
『ミュー。それがあんたの今からの名前だ。』
『ありがとう。』
「そんな契約、知らないわ。私には、やるべきことがあるのよ。」
忌々しそうにタナトスは言う。
「我々も協力しよう。それで、問題ないだろう。」
「大アリよ。人間の助力なんて冗談じゃないわ。」
タナトスは憤慨した。
「……では、もう一つ、情報を。」
藍畑は言う。
「ここ最近、四日前程から起こっている事件について。」
「?」
タナトスは睨むように藍畑を見た。
「夢魔よりも強大な力が現場からは感じた。」
そう言うと、パソコンのデータを見せた。
「数十件の事件から、全ては同一であると推測。多少は状況による劣化が見られるが。」
指したグラフと図は神力を指していた。
「場所が離れすぎていることから、クローンあるいは瞬間移動能力者であると考える。」
そう言うと事件現場の場所が示された。
「……悪魔。」
タナトスは悔しそうにする。
「こうなった以上、仕方ないわ。」
諦めたように、ベッドに足を組んで偉そうに座った。
「貴方に情報を提供してあげる。けれど、モルモットは却下よ。私が仕えるのは唯ひとり。」
「言うことを聞くのなら構わない。」


