そう問われたので、ミューがこれまでの状況を話した。
マスターは“うむ”と頷き、サタンとゼロを見た。
そして、タナトスを見る。
すると、建物の方に身を翻し、言った。
『祈りが聴こえた。』
『それが?』
(さっきの治癒詠唱か。)
レイは再び舌打ちをすると、治癒された箇所を見る。
『……懐かしい、詩だ。』
男は目を細めた。
『嘗て、誰かが詠っていた……ずっと、ずっと、昔のことだ。』
そうして、サタンを見た。
『お前にも、なんだか会ったことがある気がするな。』
『そうか。』
サタンは素っ気なく言う。
『それで、そんなもんに左右されて敵を見逃すわけか。くだらねぇな。』
『好きに言えばいい。』
男はそう言うと、視線でサタンに付いて来るように伝える。
ミューがゼロを抱えて連れて行った。
『その者達を歓迎せよ。』
『胸糞わりぃ。』
そう言うと、ゼロを睨んだ。
レイは反抗しようとしたが結局逆らえないと悟ったのか、黙って案内した。
その後、世話を任されたようだ。
医療室は、現在は患者で満室だ。
それ故にレイの部屋で休ませていた。
「タナトス……!」
ゼロはハッとした。
「あぁ、その子なら……研究室に居るよ。」
「何で?」
ミューにゼロが首を傾げた。
「研究の為だ。」
その言葉にゼロは目を見開いた。
「あの男から聞いた。俺らは“器”とかいう存在で、力を与えることができる唯一の者だってな。」
「だから、それに教団は興味を示した。」
レイに続けてミューが言う。
「サタンさんなら、タナトスさんと一緒にいるよ。だから、酷いことはされてないと思う。安心して。」
ミューは笑った。
「伝記によれば、“神の器”というものがある。その者は神の使徒として世界を救ったそうだ。……真偽はともかく、俺には興味のクソ欠片もねぇが。」
レイはめんどくさそうに言った。
「その者達は強い力を持っている。その力の源であればそれ以上の力があるだろう。」
「だから、利用するの?」
「そうだ。」
ゼロは涙を流した。
「————、私が、こんなところに連れてきたから……」
後悔した。
回復するのを待てば良かったのかもしれない。
万一のことを考えたつもりだった。
それは、余計なことだったかもしれない。
「……アイツは助けてやるよ。ただ、教団には協力してもらう。そういう、交換条件だ。世の中甘くねぇんだよ。」
マスターは“うむ”と頷き、サタンとゼロを見た。
そして、タナトスを見る。
すると、建物の方に身を翻し、言った。
『祈りが聴こえた。』
『それが?』
(さっきの治癒詠唱か。)
レイは再び舌打ちをすると、治癒された箇所を見る。
『……懐かしい、詩だ。』
男は目を細めた。
『嘗て、誰かが詠っていた……ずっと、ずっと、昔のことだ。』
そうして、サタンを見た。
『お前にも、なんだか会ったことがある気がするな。』
『そうか。』
サタンは素っ気なく言う。
『それで、そんなもんに左右されて敵を見逃すわけか。くだらねぇな。』
『好きに言えばいい。』
男はそう言うと、視線でサタンに付いて来るように伝える。
ミューがゼロを抱えて連れて行った。
『その者達を歓迎せよ。』
『胸糞わりぃ。』
そう言うと、ゼロを睨んだ。
レイは反抗しようとしたが結局逆らえないと悟ったのか、黙って案内した。
その後、世話を任されたようだ。
医療室は、現在は患者で満室だ。
それ故にレイの部屋で休ませていた。
「タナトス……!」
ゼロはハッとした。
「あぁ、その子なら……研究室に居るよ。」
「何で?」
ミューにゼロが首を傾げた。
「研究の為だ。」
その言葉にゼロは目を見開いた。
「あの男から聞いた。俺らは“器”とかいう存在で、力を与えることができる唯一の者だってな。」
「だから、それに教団は興味を示した。」
レイに続けてミューが言う。
「サタンさんなら、タナトスさんと一緒にいるよ。だから、酷いことはされてないと思う。安心して。」
ミューは笑った。
「伝記によれば、“神の器”というものがある。その者は神の使徒として世界を救ったそうだ。……真偽はともかく、俺には興味のクソ欠片もねぇが。」
レイはめんどくさそうに言った。
「その者達は強い力を持っている。その力の源であればそれ以上の力があるだろう。」
「だから、利用するの?」
「そうだ。」
ゼロは涙を流した。
「————、私が、こんなところに連れてきたから……」
後悔した。
回復するのを待てば良かったのかもしれない。
万一のことを考えたつもりだった。
それは、余計なことだったかもしれない。
「……アイツは助けてやるよ。ただ、教団には協力してもらう。そういう、交換条件だ。世の中甘くねぇんだよ。」


