CRIMSON EYESIGHT ~prologue~




校門をくぐると、後ろから元気な女の子の声が聞こえてきた。



「ユウキー!おはよっ!」



足を止めて彼女の姿を捉えようと、振り向こうとしたのだが、それは何かに遮られ出来なかった。


背中に大きな衝撃を受け数歩前へよろける。


咄嗟に踏みしめた足に感謝。


危うく転ぶところだった。


背中に受けた衝撃が何なのかはすぐに予想がついた。


こんなことをするのは一人しかいない。



首だけ後ろを向き、彼女の姿を捉える。


そこには案の定、予想通りの人物がいた。


少し癖のある金色のショートカットと、青く澄んだ瞳を持つ女の子が私の背中に体を預けていた。



「スズちゃん…痛いし、重いんだけど」


「ふふっ、ごめんごめん」



背中に体重を預けてきている彼女を軽く睨みつけながら、嫌味たらしく言い放つが。


軽くあしらわれてしまった。


全然悪いと思っていないなこの子は…と、心の中で思いつつ、彼女の体を無理やり引き剥がす。