「ジン。これはちょっとやばいんじゃない?」



ユウキはフェンスに手をかけ、下を覗き込みながら言った。


このまま放っておくといつかは死人が出るかもしれない。


現に、昇降口へと吹き飛ばされた生徒たちは傷だらけで倒れている。


土と涙が彼らの顔を汚す。



「そうだな。これ以上はさすがにマズイな…」



加減を知らない奴らだ…


そう、呟くとジンは一度の跳躍でフェンスの上に立った。


フェンスの高さは優に二メートルを越す高さだ。


加えて、フェンスの幅なんて高が知れている。


それを助走もなく、たった一度の跳躍で飛び乗ったのだ。


そして、ユウキもそれに続いて、ふわりと軽やかに飛び上がり同じようにフェンスに乗る。



「ユウキ…いいよな」



最後の確認とでも言うように、ジンは横目でユウキの顔色を伺う。



「大丈夫」



ユウキは笑って答えた。


そんなユウキの表情に、ジンは安心したのか、少し笑って見せた。