「いいの?」
「ああ。俺らの迷惑を考えない奴らが悪い。それに、後処理も奴らがやればいいことだしな」
だったら、少々暴れてもいいだろ。
そう、後に続ける。
「性格悪っ」
クスッと笑う。
一応突っ込んでおいたが、私も内心では同じようなことを思っていたから、人のことは言えないのかもしれない。
最後には全部忘れるのだから。
私たちがここにいたっていう事実は、誰の記憶にも残らないのだから。
この軽い気持ちが後に後悔へと繋がることになるなんて、この時の私は知る由もなかった。
それからといつものの、私と彼は何をするわけでもなく、校庭を眺めていた。
校庭の集団もただその場に立ってこちらの様子を伺っているだけ。
しばらく経った後…
その時間はたった五分にも満たないが、集団の中で一際体格の良い男が動き始めた。
男は先ほど、辺りを見渡してずっと屋上を見上げていた人の胸倉を掴みにかかり、何か怒鳴り散らしている。
会話まではさすがに屋上まで聞こえてくることはないが、どうやら内輪でもめている様子だ。



