その人は辺りの生徒を見渡し、校舎から見ている生徒を眺め、そして最後に上を見た。
サングラスで隠されているその目は、確実に私たちの姿を捉えているだろう。
その証拠に口元に怪しい笑みが浮かんでいる。
「どうする?気づかれちゃったよ」
私は淡々とした口調で告げ、その人を眺めた。
気づかれたは少し違うな。
最初からここにいるってことを知っていた。
その人は。
隣にいる彼も私と同様、ただその光景を見つめている。
「ま、どうするも何もって感じだな」
そうだな…と、彼は顎に手を当てて考える素振りを見せる。
そんなことをしなくても決めているくせに。
「とりあえず、無視だな」
その言葉に私は呆れることしか出来なかった。
思ったとおり。
「誰かに危害を加えてからでも遅くないだろ」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた彼を見てため息を吐いた。



