CRIMSON EYESIGHT ~prologue~




相変わらず切り替えが早いな、と思いながら。


一人で食べることになってしまった彼女の背にもう一度小さく謝り、今度こそ私は急いで屋上へと向かった。


廊下を走り、屋上を目指す。


そんな私のようすに周りが不思議そうな視線を送ってくるが、気にしない。


彼のことだから、もう来ていてるに違いない。


早くしないと。


急ぎ足で屋上までの階段を上っていくと、屋上へと続く扉のある踊り場の壁に背を預け、眠そうにしている彼の姿を見つけた。



「ジンっ!ごめんね、朝渡し忘れて…」



目的の人物がやはり待っていたことに、急いで彼の元へと駆け寄る。


鞄からお弁当箱を取り出し、彼に渡す。


それを受け取ろうとした彼の手が、それに届くことなく腕が下ろされた。



「いや、それより…」



ふと、彼の顔が険しいものへと変化し。


その瞬間、屋上の扉が壊れそうな勢いで開かれた。


この学校の屋上は生徒に解放されてないから、鍵はかかっていて誰もいないはずなんだけど…


不思議なことに、独りでにそれは開かれたのだ。