CRIMSON EYESIGHT ~prologue~




四時間目の授業が終わった。


やはり、授業はつまらない。


鐘が鳴ると同時に、急いで教科書を机の中に押し込むと、横に掛けてあった鞄を手に取り席を立った。


早く行かないと。と、教室を出ようと扉に手をかけた、その時。



「ユウキ。どこ行くの?一緒に食べようよ」


「あっ、スズちゃん…」



横から彼女に話しかけられた。


彼女の手には菓子パンと野菜ジュースの入ったコンビニ袋がぶら下がっている。


お昼休みが待ち遠しかったのか、心なしか笑顔がいつもより明るい。


そんな笑顔をもしかしたら陰らすかもしれないことに少し心が痛む。



「ごめんね、スズちゃん。今日は先約があって…先に言っておけばよかった…」



せっかく誘ってくれたのに私のど忘れにより、一緒にお昼ご飯を食べられないことに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


そんな私の言葉に彼女は全然気にすることはなく。


先約なら仕方がないと、言って自分の席へと戻り一人黙々とパンを食べ始めた。