私は待合室で先生を待っていた


「あの、誠は…?」


先生のお母さんが目の前に立っていた


「あっ、こんにちは 先生なら今診察室です」


「突然血を吐き出したって聞いて… 大丈夫かしら」


おばさんは心配そうに診察室を見つめた


「先生なら大丈夫ですよ!」


私はあえて明るく言った


私も心配だったけどおばさんのほうがもっと心配だろうから


「あなた毎日来てくれてるの?」


「毎日じゃないですけど2日に1回は来てます…」


私は下を向いて話した


毎日のように来てるなんて恥ずかしかったから


「ありがとうね 誠のために 」


「えっ?」


私は思いがけない言葉に驚いてしまった


「あなたと話してるときの誠はとても楽しそうでね 誠にとって大事な教え子なのね」


おばさんは優しく笑った


「そ、そんな 私なんて…」


私はただいるだけ


先生の支えになることなんて何もしてない


けどちょっとだけ先生に認められた気がして嬉しかった


「水澤さんのお母さんですか?」


診察室から看護師さんが出てきた


「はい、そうですけど」


おばさんは立ち上がった


それから看護師さんと一緒に診察室に入っていった