「だ、だって、たくさんの人に見られてたから」
「あのなぁ、あんな中途で話をやめるほうが、結末が気になって面白おかしく言われるんじゃないか?」
和くんはあごに添えていた手を離し、ガシガシと頭をかく。
「面白おかしくって、そんなの、あたしが鉄平を振って、和くんには振られてなんて泥沼になってたら、結末わからないとき以上に噂になっちゃうよ」
あたしは再び、手を握り、目を伏せた。
――やばい。
振られてなんて、自分で言って、痛い。
泣きそう。
せめて、和くんと別れるときは笑顔で、気持ちよく。
そう思うから、あたしは必死にこらえた。
「……なぁ、ため息ついていい?」
「は?」
思わず、目をあげてしまう。
和くんが腰を折りながら、顔を突き出してきた。
そのあまりの近さに驚いて、身を引いた。
だって、そうしなきゃ、唇がぶつかりそうなんだもん。



