リアルフェイス【短編】


このまま、無視してたら、寝てるって勘違いしてくれないかな?


「悠衣、顔をあげて」


もう一度、声がかかり、やっぱり体が揺れた。


声に反応しちゃってるんだから、起きてるってばればれだよね。


観念したあたしは、そっと体を起こした。


でも、まだ顔を上げることはできなくて、机の前に立つ人の太ももを凝視していた。


さっき、和くんが着ていたのと同じ、青のハーフパンツ。


やっぱり、あなたは和くん?


手を握りしめると、目の前の人がそっとあたしの手に触れ、開けさせた。


ああ、この動作もさっきと同じ。


そして、その手があたしの首筋、頬へと上がり、あたしは緊張でいっぱいになった。


やがて、あごにたどり着き、クイッと顔をあげさせられる。


すぐにかちあった瞳は、意外にも優しかった。


「か、和くん、何?」


嬉しいけども、その微笑みが逆に怖いようにも感じて、声まで震えてしまう。


「何、はこっちの話。急に逃げだして」