和くんの心配そうな呼びかけが耳に届き、後ろに立つ和くんを再び見上げた。
『素の自分』云々の話がわからなくて?
それとも、あたしの気持ちがわからなくて?
今にも泣きだしそうな、見たことないくらいに弱ってる和くんを見て、唇を噛んだ。
こんなふうに、不安にさせていてはダメだ。
顔を鉄平に戻す。
「し、しかたないじゃない! 和くんが好きなんだもん!! 好きだから、嫌われたくなくて。ダメだってわかってるけど、和くんにはいつも以上に可愛い自分やいい面ばかり見てもらいたくて。だから……」
あたしはこの先を言うことが辛くて、うつむいて、両手を力強く握った。
誰の前でもいい人でいれたらいいのに。
校則が緩いからと5ミリほど伸ばしていた爪が手の平に食い込む。
「……悠衣」
和くんがそっとあたしの両手に触れ、開いた。
そして、後ろから両手を重ねる。
その温もりに安堵を覚えた。
大丈夫。
和くんがいる。



