リアルフェイス【短編】


ということは、和くんだけではなく、他の人にも聞かれていたのかと思い、恥ずかしくなった。


そして、ふと気づく。


い、今も聞かれてるんじゃない!?


辺りを見ると、いつのまにか試合が終わっていたようで、サッカー部の人やギャラリーに遠巻きに見られていた。


や、やだ!


せめて、和くんの腕のなかから離れようとすると同時に、鉄平の怒鳴り声が響き渡った。


「俺の前でいちゃいちゃするなよ!」


びっくりして、鉄平の顔を見る。


真っ赤になって、男にしては薄い眉がつり上がっていた。


「好きなんだよ、ずっと、昔から。俺には悠衣しかいない。悠衣だって、そんなヤツよりも俺のほうがいいに決まってる。そいつには、素の自分を見せられないんだろう?」


『素の自分』


その言葉が胸に突き刺さり、あたしは言い返すことができなかった。


「あ……あたしは――」


和くんが好き。


でも、和くんの前では自分を偽ってしまう。


「……悠衣?」