リアルフェイス【短編】


最初はただ生温かく、次に熱い湿り気を感じて。


熱が離れると、外気に触れて、一気に冷える。


その違和感から、まだ熱に侵されていると錯覚しそうになる。


すぐに、違う指にも熱が灯る。


鉄平に何をされているのか、確かめることが怖かった。


見なくても想像がついてしまうかもしれないけど、それを考えることが怖かった。


ただ、呆然と視線をさまよわせ、和くんの苦しそうな瞳を見た瞬間、とっさにうつむいていた。


「……やめて」


かろうじて一言、しぼりだす。


すると、指にかみつかれる。


痛みで、身を縮めた。


「いやだ」


その噛まれたあたりに、優しく舐められる。


「いや、やめて」


あたしは激しく身をよじり、腕を振り回した。


鉄平が驚いたのか、腹に回されていた右手がゆるみ、あたしはそこから逃げだした。


「和くん!」


「悠衣!」