リアルフェイス【短編】


和くんの瞳が、大きく見開く。


その顔に浮かぶのは、驚きと――悲しみ?


ダ、ダメ!


あたしは慌てて、もがいた。


「鉄平、離して!」


あたしよりも背が低いのに、腕が離れない。


どこにそんな力があるの?


「離さないよ」


その言葉を聞くと同時に、背中がゾクゾクッと粟立つ。


服越しだというのに、そこが熱い。


「いや、離して。和くん!」


もう一度、体を動かし、腕を解こうとするけど無理で、あたしは助けを求めるように和くんに手を伸ばした。


「悠衣!」


和くんも手を伸ばす。


それがあたしの手に触れる直前、あたしの意思に反して、あたしの手は後ろに引き寄せられた。


「ダメだよ。俺が勝ったんだから、悠衣は今から俺の彼女」


鉄平がしゃべっても、不思議と背中に息を感じないと思ったら、それは背中ではなく、あたしの指先に触れてた。