リアルフェイス【短編】


(大丈夫)


あたしが信じなくて、誰が信じるのよ。


不安に負けないように、さっきまで以上の声で和くんを応援した。


すると、まるでその声が届いたかのように、華麗に鉄平をかわす。


右を抜くと見せかけて、左へ。


さらに、右へ。


和くんは大きな動きで鉄平を振り回し、鉄平の横を走りぬける。


(すごい)


あまり詳しくはないけど、きっとこういうフェイントは体の小さい鉄平のほうが、反動が小さくて強いはず。


それなのに、鉄平よりも速い動きでってことは、ストップ&ターンの練習をかなりの量積んでいるんだろう。


学校が違うから、和くんの練習風景なんて練習試合のときぐらいしか見れないけど、たまに見るその姿で、彼が部活の後も個人的に練習していることがわかる。


和くんは今度はゴールキーパーと向かい合うと、足を後ろに振りあげ、そして、おろした。


それに当たって、左斜めに飛んでいったボール。


それをとらえようと、伸ばされるゴールキーパーの手。


しかし、ボールはその手にかするかどうか、ぎりぎりのラインをたどって、ゴールの左上の隅に飛び込み、ネットが押された。