リアルフェイス【短編】


由実に言われて、はっとした。


そうだよね。


心のなかで応援しても、伝わらない。


「和くん、がんばれー!」


右手を口の横にあてると、励ましの言葉を大きな声で言った。


その瞬間、和くんと目があった気がして、ドキッとした。


気のせいかもしれない。


それでも、伝わったかもしれないと思うと、とても嬉しくなった。


その後も、あたしは声を張り上げ続けた。


和くんがボールを取る。


そのままドリブルをして、ゴールへと駆け上がる。


相手チームのディフェンダーが阻止しようとするけど、和くんはフェイントを使って、次々とかわした。


「和くん、いっけー!!」


あたしの応援にも力が入った。


和くんがやっと点を入れるかもしれない。


そう思うと、気持ちが高まっていく。


最後のディフェンダーを突破した!