リアルフェイス【短編】


そう思ったら、すごく怖くなって、フィールドに目を向けて、和くんを探した。


すると、すぐに見つかる。


彼もあたしを見ていたんだ。


交わった瞬間、とっさに目をそらしてしまった。


和くんを見れば安心できると思ったのに、和くんの目を見ることは怖い。


何もかも見透かされそうで、見れない。


後ろめたさがあたしの心を覆い尽くす。


彼の元へ駆けていって、鉄平のことを伝えるべきなんだろうけど、余計な心配をかけたくないという思いが邪魔をする。


ただ、試合を見ているしかないなんて、もどかしすぎるよ。


そうこう考えているあいだに、後半戦開始のホイッスルが鳴り響いた。


まずは、和くんのチームが攻める。


しかし、すぐに鉄平のチームに渡ってしまう。


ドクンと心が騒ぐ。


だ、大丈夫。


鉄平のチームに得点が入っても、それを決めたのが鉄平でなければ、カウントに入らないよね?


ボールが何人もの足を伝って、ゴールへと近づいていく。