リアルフェイス【短編】


不思議に思って、首を傾げると、鉄平が大きな声を出した。


「もし、残りの試合時間で、アイツよりも多く点を入れることができたら、俺とつきあってくれ!」


「はあ!?」


思わず、口を開けてポカーンとしてしまう。


付き合う?


アイツって和くんのこと?


「そ、そんなことできるわけないじゃない」


視線をそらしたかったのに、いつの間にか鉄平の真剣な瞳に囚われてしまった。


いけない、このままじゃ呑まれてしまう。


「あ、あたしは和くんと付き合ってるんだから、他の人と付き合えるわけがない」


「だから、その和くんとは別れて、俺と付き合ってくれっていってんだよ」


ひゅうっと喉が鳴る。


な、何なの。


こんな鉄平知らない。


いつもは自信なさげで弱気なのに、今の鉄平は自信にあふれてる。


この人は本当に鉄平なの?