ディスプレイには、 【着信中 妹尾】と表示されている。

珍しいな・・・妹尾から電話だなんてー・・・


「はい、どうした?」

[あ、高橋?私だけどね]

受話器から聞こえてきたのは、あきらかに妹尾の声ではない。


「・・・安川か?」

[当たり!]

何で、安川が妹尾の携帯からー・・・

[ちょっと、今溜め息ついたでしょ?]

「いや・・・で、どうした?」

[あのさー、明日明後日と休みじゃん?立川の別荘に泊まりに行こうってなったんだけど]

別荘!?

立川の家って金持ちだったのか・・・知らなかった。

[高橋もどう?どうせ、暇でしょ?]

暇って言い方はないだろー・・・

「あー・・・悪いけど、休みだけど仕事あるんだ。お前らで行ってこいよ」

[えー!!?]

「休みの日ぐらい、お前らから解放させろ」

[解放させろってー・・・泰葉、高橋が言ってるんだけど!]

「いや・・・」

妹尾に言ったわけじゃー・・・

[香奈、先生だってゆっくりしたい時があるんだよ。無理やりに誘っちゃダメだよ]

[あー・・・高橋、もうオッサンだもんね!]

聞こえてるぞ。

[でも、せっかく泰葉と過ごせる休日にしてあげようと計画したのにダメなのかー]

[香奈・・・]

[二人っきりだと怪しまれるから、立川と私もがいれば堂々と遊びに行けると思ったのになぁー]

電話が繋がっているのを忘れているのか知らないが、二人の会話がこちらに筒抜け。

[高橋なんか滅多にない連休じゃん?その連休をずっと泰葉と過ごせたら、幸せだと思うのになぁー]

[先生が幸せかどうかはわかんないけど、私は一緒に過ごせたら嬉しいよ]

「!」

妹尾がそんなこと言うなんてー・・・


[泰葉は先生と過ごせたら嬉しいって。で、高橋は?]








「わかった。行くよ」