…─あれは、とても
暑い夏の日だった―…


僕は、祖母の見舞いに来ていた。
その見舞いも終わり、
病院の中庭に居た


「つまらない…」


いつもいつも、同じ。
少しは変わった日を過ごしたい


今は夏休み。
課題もとっくに終わっていた。


ザァッ…


いきなり、強い風が吹いた

咲いていた花と木々の葉は
パラパラと空を舞った

僕は、舞った花を目で追った


「ん?」


あの子は…誰?
ギラギラ光る太陽の日差しのせいか
彼女の顔はよく見えなかった

此方…いや、舞った花を見ている少女


この風景をスケッチしているのか…


「あっ!」


スケッチしていた数枚の
紙が上から降ってきた


その絵を僕は拾って見た
全部すごい綺麗な絵だ

でもなんか…どこか寂しい


「あ、あのっ!」


僕は、彼女の声で我に返った


「勝手に見てごめん。届けに行くよ」


「え…と…?」


「病室教えてちょうだい?」


「508号室です!」


「分かった!少し待ってて」


絵を持ち
僕は508号室まで足を速めた。